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2010年7月 Archive

力量  100730

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2010年7月30日 15:56

力量(コンビニ従業員の事例)

京都までの宅配を頼もうと、あるコンビニ(コンビニエンスストア)に行きました。コンビニによってシステムがどれだけ違うのか、田中は全く理解していませんが、持ち込んだものを簡易的に包装するもの(たとえば紙袋)が用意してあって、簡単にくるんで宅配してくれることをイメージして、箱には入れましたが裸に近い状態で持ち込みました。中身は電子メールに必要なモデムと電源です。

まず、そのままの状態で宅配が可能かという判断をコンビニがしました。
というより、裸に近いものを宅配可能か?を受け付けてくれた(受け付けてくれるハズの)担当者が、店長に相談したのです。店長はあっさりと、「この状態で宅配可能」と宣言しました。この時点で、担当者は判断能力(力量)がなかったのです。
数枚つづりの宅配依頼書に記入して受付をお願いしましたが、今度は別の担当者がやってくれました。ただ、目の前にある端末の操作ができません。宛先の「京都市」をインプットしないと作業が進まないのですが、沢山並んだ都市名から選択することができなかったのです。田中の文字は、読み取れないほどの悪筆ではありません。端末操作ができないという意味で、力量がなかったのです。

推定ですが、コンビニにおける接客業務の大部分は、利用者が棚から取り出してレジまで運んだ商品のバーコードをバーコードリーダーに読み取らせれば、自動的に金額が集計され、日本語の能力は「いらっしゃいませ」「○○円です」「△△円のおつりです」「ありがとうございました」程度の会話で十分な仕事が98%以上を占めるので、海外からの留学生らしき人物が多いように思います。宅配を取り扱う比率、漢字読み取りが必要な業務は少ないのでしょう。

結果として、標準的でない業務が発生すると田中のような経験をすることになるのです。

9001規格の6.2.1項では「製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事する要員は(途中省略)、力量がなければならない」としていますが、「力量とは?」を個々の業務に当てはめて厳密に定義しようとすると、結構むずかしいことが実感できます。規格上は、教育、訓練、技能、経験という要素で考えなさいとヒントを示していますが。

お客様との対話  100723

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2010年7月23日 16:21

お客様との対話

科学博物館での教育ボランティアも1年以上たちました。
だいぶ様子がわかってきましたが、「科学」の範囲はとてつもなく広大で、高校大学で習ったこと、社会人になってから関与した部分はそのppmにも満たないppb(parts per billion)のレベルなのです。これから科学に興味を持つかどうかという年齢の人たちを対象として、わかりやすい説明を、気負わずにしましょう、というのが仕事の中身なのですが、なかなかうまくいきません。

ボランティアは組織(博物館)の一員ではありませんが、来館者からすれば組織側の人間ですから、お客様はいろいろな質問をされます。お客様がおとなの場合もあります。適切に答えられれば満足されるでしょうが、そうでなかった場合にどういうことになるのかが見えません。相手の方が、その分野のプロの場合でも外見で判断できないからです。しばらくやりとりをしてから、実はこれこれと言われて冷や汗をかくこともあります。5年10年やってきている方でも状況は同じようなものらしいのです。ボランティア控え室での昼食は、反省会だったりボヤキあう場だったりするのです。

先日はお客様とこんなやりとりをしました。
「時を知る」というテーマの展示があり、江戸時代に使われた日時計(旅行する時に携帯したものだということです)を見た方が、「こういうものを松尾芭蕉も奥の細道を歩くときに持っていたんでしょうかねえ?」と聞かれました。「奥の細道」にそのような記述があるか知りません。かといって、否定する根拠もありません。瞬間的に考えた田中の返事は「さあどうでしょう。芭蕉さんは持っていなかったかもしれませんが、同行した河合曽良さんは持っていたかもしれません」でしたが、お客様は納得してくださいました。

「守・破・離 100430」のときに、情報提供者と位置付けて仕事をしていると書きましたが、ボランティア活動も全く変わりません。小さな子供が相手のときには「教えてあげる」雰囲気になってしまいますが。

余談ですが、科博の教育ボランティアは皆さんまじめです。先日、展示品の維持管理のための館内燻蒸があって活動できない期間を利用して研修親睦旅行がありました。水族館の見学時には、普通では見ることができないバックヤードのツアーも盛り込まれていましたし、研究員の方が直接対応し館内を案内くださった施設もありました。田中としては、新たな知識を沢山吸収することができました。

顧客の立場 その2  100719

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2010年7月19日 15:15

顧客の立場 その2(ベンダーリスト)

前回に引き続き集合住宅管理(会社)に関するものです。
9001規格の1994年版に次のような要求事項がありました。
4.6.2項(下請負契約者の評価):供給者は次の事項を行うこと。a)下請負契約者を評価し、選定する。c)受入れ可能な下請負契約者の品質記録を作成し、維持する。
94年版での「供給者」は2008年版での「組織」であり、94年版での「下請負契約者」は2008年版での「供給者」です。この要求事項は現在の7.4.1項にほぼ同じ主旨で残っています。
問題は、94年版で「受入れ可能な下請負契約者の品質記録」とはベンダーリスト(vendors' list)のことであると、ほぼ全ての審査登録機関が考え、「発注(受入)可能な供給者のリスト(取引先台帳)」を持つことを組織に要求していたのです。
2000年版改定の時に、ベンダーリストを保有することは規格の要求事項ではなく、単に、「供給者をある頻度で評価した記録を残すことを要求している」、となりました。

コンサルティングにおいても、この考えを適用し、①自分たちが決めた頻度で供給者を評価し、記録を保管する、②この評価結果に基づいて、継続発注するとか、品質面での指導をするなどをお願いしてきました。

さて、集合住宅管理会社の話ですが、つい最近こんなできごとがありました。19時頃に住人のMさんが帰宅したところ、玄関(建物)の自動扉が半開きになっていました。玄関の扉はオートロック式で、専用のキーをかざさないと開かない仕組みになっているのですが、うまく機能せず半開きだったのです。Mさんは、目の前に建物の緊急センター(住宅管理会社の1部門)の電話番号が掲示してあるのに気づいて通報しました。
通報を受けた緊急センターは、①まず、警備保障会社に連絡し、修理完了まで不審者が出入りしないよう監視を要請しました。②次に、自動扉の修繕手配をすべく、費用が発生するので集合住宅の住人による承諾が必要となり、別の担当者が田中に電話をしました。「A社に発注したい。◎万円が見込まれるがOKか」という内容です。OKしなければ半開き状態が続くことは明白ですから、田中はOKしました。

そして、A社に連絡がいき、2時間後にA社の担当が建物に到着しました。が、なんと、A社ではこの扉は直せないことが現場に来てはじめてわかったのです。緊急センターの処理報告書には次のように記載されています。「A社より連絡あり。建物点検口をのぞき確認したところ、メーカーはP社のため対応はできない」。なんと間抜けな話でしょう。
集合住宅管理会社がベンダーリストを保有していれば、田中が住んでいる建物の玄関扉の修理はY社で、連絡先電話番号は0120-○○-○○という記述があるはずです。どうも、それをこの管理会社はもっていない可能性があります。A社とのメンテナンス契約なし、という文字が処理報告書に書いてあるのを見て、驚きを通り越してあきれてしまいました。23時半頃までいろいろなやりとりをしましたが、結局修理は翌日の昼過ぎとなりました。
わからないことがいろいろとあるのですが、緊急センターが住宅管理会社の1部門であることは確認しました。

今後、ベンダーリスト作成要否の話をするときには、この話をしようと思います。

顧客の立場  100707

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2010年7月 7日 13:42

顧客の立場

顧客の立場は第三者よりずっと厳しいという話を前回しましたが、田中も顧客の立場で厳しく指摘しています。

住んでいる集合住宅の管理をビル管理会社に委託していて、このビル管理会社はISO9001の認証を10年以上にわたって得ています。集合住宅は建築基準法第十二条の特殊建築物に該当するので、建物の状況(劣化していないか)を3年に一度調査/検査して報告する義務があります。
当然この調査/検査と報告業務も委託しています。昨年10月に調査をして、東京都と区に報告しているのですが、2棟あるのに1棟しか調査しないまま報告が済んでいたのです。
東京都と区に対しては、調査をした有資格者と住人の代表の両者連名で報告します。その段階で気づいてもよかったかもしれませんが、住人側には気づくチャンスはそれ1回だけですし、専門家に任せているのでまさかそんなことがあるとは想像もしていません。
管理会社では、業務委託先から上がってきた報告書を担当者がチェックし上司が目を通す段階、業務報酬を支払う段階、請求する段階(結果として、実施していない業務についても費用を委託先(供給者)に支払い、我々に請求していたのです!?!?)、東京都と区の承認を得て最終報告書を住人宛に作成する段階、それを上司が目を通す段階、と数え上げるといくつでもあるのですから「不適合」と言わざるをえません。供給者もよく受け取ったものだと不思議ですが、今回のテーマではありません。

今年になって、「調査/検査が終了し、次回は平成24年に実施すればよい」というシールが一方の建物の入口にだけ貼ってあるのに気づいて、田中が管理会社に問い合わせるまで、彼らは気づいていなかったのです。9001規格の8.3項には「(報告書の)引渡し後に不適合が検出された場合には、(管理会社は)その不適合による影響に対して適切な処置をとらなければいけない」とあります。「影響」の例としては次のようなことが考えられます。
① 調査しないことで、建物が劣化していることに気づかず損壊する、
② 調査しなかったことで法律違反を問われる可能性がある、
③ 未調査なのに費用請求してしまった金額の返還を住人から求められる、
④ 管理能力自体を疑われて、委託契約を解約されてしまう、などです。
最後の話になると、9001の範囲を超えてリスクマネジメント、BCMの世界かもしれません。

この管理会社がとった処置は、建物調査の実施(不適合の除去)と、担当者からの謝罪(不注意のため点検ミスしたことに対して)でした。田中はこの処置だけでは納得できなかったので、文書による経緯調査報告と是正処置(今後点検ミスを起こさない保証)の提示を主張しました。
顧客の考えることは厳しいと思いませんか?

この件は、現在も進行中です。彼らが主張する「不注意による点検ミス」が消防法関連の報告書で再発したのです。この管理会社から顧客満足度調査票がきたら、必ずマイナス点をつけるでしょう。上記の是正処置が適切に提示されなければ認証機関(JABのホームページで調査済み)に連絡してみようと考えています。

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