Home > 9001公開討論会

9001公開討論会

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2010年5月 7日 16:31

9001公開討論会 100507

3月15日に日本適合性認定協会(JAB)主催の討論会がありました。今回のテーマは「9001認証の社会的意義と責任」でした。これに関しては、4月28日付けでJABのホームページに概要が掲載されたので、ご覧になった方もいらっしゃると思います。田中は都合がありまして、全部の報告/パネルディスカッションを聞くことができなかったのですが、いくつか感じたことがあります。

(1)登録件数の集計
国内で活動している認証機関の登録件数をJABが把握し、四半期毎の実績がJABのホームページで確認できます。田中はこの数字がISOに報告され、ISOが全世界の登録件数を把握しているのだと信じていました。そうではないことが今回の討論会でわかりました。
JABの事務局が、ISO 調べとJAB調べで登録件数が違う、と言ったのです。ISOは独自に調査した結果を発表しているのです。推定ですが、JAB はJAB認定の認証機関だけを対象としているのに対して、ISOはJAB認定以外の認証機関による数字を含んでいるのです。
9001規格では統計的手法の使用を義務づけてはいませんが、推奨しています。単純な足し算さえ、ISOとJABで不統一というのは残念、と感じました。JAB もJAB認定以外の認証機関による認証数の把握に努めているようですが。

(2)飯塚先生の基調講演
飯塚先生の話しぶりは「君たち、私の話を理解できるかな?できるだけ平明な言葉で話すから、理解できない場合、君のレベルが低いせいだよ」というニュアンスがあるのですが、田中は理解できています。話の主旨が一貫していて、歯切れがよいのです。

今回のテーマは「9001認証の社会的意義と責任」でしたから、認証されているにもかかわらず、品質問題を起こす組織があると、マネジメントシステムの認証という制度そのものに対する信頼性に影響する、ということが根底にありました。
認証制度のビジネスモデルとして、審査費用を申請組織が支払う現状では、申請組織は簡単に認証が得られて維持できることを望むのは当然である。ここに「制度そのものに対する信頼性」という問題の根っこがあるのではないか。審査費用を申請組織が支払うのでなく、その顧客が支払うのであれば事情はかなりちがうであろう、限りなく架空の話だが。というのが飯塚先生のご意見でした。なるほど、たしかにそうだ。

もう一つ、節穴審査という話がでました。現在の審査では、審査員が不適合を見つけることができなかった場合には「QMSは適合」となっている。審査員にしっぽをつかまれないように、質問事項に対してだけ答え、余分な説明はしない、というのが多くの受審組織のふるまいである。これでは、システムの真の良否を審査できないであろう。
ところが、IAF(17021)は「適合であるという十分な証拠がなければ認証を授与しない」という考えを示していて、実態と乖離している。組織自身が積極的に「適合している」ことを説明し、説明内容を審査員が「検証・妥当性確認する」審査を目指さないといけない。なるほど、たしかにそうだと感じました。

(3)参加者の減少
以前ですと、開始時刻直前に会場に到着すると、空いている席を探すのが大変でした。9001及び/または討論会に対する関心が高かったのだと思います。会場の広さはあまり変わらないように思いますが今回1/3の席は空いていました。関心を持つ人(または組織)が減少することと、JAB登録件数が全体(全産業分野合計)で減少していることは無関係ではないでしょう。こんなことにまで、政府がしっかりしないからという押しつけはできませんが、もっと関心が高くてよいのではないでしょうか。
ISO 調べでは、2008年の国別登録件数変化で、日本は10000件以上のマイナスで世界一だったそうです。産業分野別では増え続けている分野のほうが多いのですが。

Comments:0

Comment Form

Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.rascentgroup.com/mtos/mt-tb.cgi/106
Listed below are links to weblogs that reference
9001公開討論会 from Consultant's Eye QMS

Home > 9001公開討論会

Search
Links
Feeds

Return to page top