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9004規格

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2010年5月13日 18:22

9004規格 100513

3月16日に日本規格協会主催の9004規説明会がありました。
前回書きましたが、全産業分野合計でのQMSのJAB登録件数は減少しています。9001討論会参加者も減少して、品質マネジメントシステムに対する関心が薄くなっているように感じます。しかし、9004規格の説明会は盛況でした。主催者側が狭い会場を準備したせいかもしれませんが、超満員という表現があてはまる状況でした。

昨年改定された9004規格は「組織の持続的成功のための運営管理―品質マネジメントアプローチ」という表題です。2000年版のような「9001規格とのコンシステントペア」の考えはなくなり、品質マネジメントシステムという言葉が表題から消えました。
9001:2008規格は9001:2000規格を追補改定したものですが、ISO9001:2009はそうではなく、番号を引き継いでいるが新規に制定したと考えたほうがよいように感じました。規格のコンセプトとして、
① 9000にある八つの原則に加え新しい要素(俊敏性、革新、学習、自立性など)を追加
② 顧客に限定せず、社会のニーズ・期待を満たす
③ 効果的・効率的に組織のパフォーマンスを改善
④ 競争優位を得て、持続的な成功を達成する組織になる 等が含まれています。
マネジメントの対象は多数あり、手法もまた多数あるので、9004の内容は盛り沢山といえます。しかし、規格に書いてあることを全て実施する必要はない、全項目で満点を満たす必要はないとの説明を受けました。それならやってみよう、という組織が多数現れることを期待します。選択と集中、組織の実態にあったバランスの取れた状態を目指せばよいのです。

気になるのは、ISOの9004規格は2009年に改定済みなのに、JIS規格が未発行なことです。この秋には発行できるであろう、との情報でしたが、律儀な委員の先生方の作業としては遅いと感じました。
9004規格改定の議論において、日本側委員の方々は、JIS Q 9005/9006をひっさげて、「質マネジメントシステムはかくあるべき」とWorking Groupで主張したのですが、議論の過程で肝心のところを削除されたことをかなり残念がっていました。そのこととJIS規格発行の遅れは無関係なのでしょうが、意見が通らなかったことについては感情論のように聞こえて、ちょっと気になりました。
うがった見方かもしれませんが、「質マネジメントシステムはかくあるべき」と主張する日本側委員の方々と国内の組織との間にはかなり隔たりがあると思います。理想論を掲げ早くここまで来なさい、ここが最終的に到達すべきレベルだよと叱咤激励されているのですが、組織側はなかなか追いつけないのです。9001でさえ、うまく活用できている組織はそうないのですから。このことについてはコンサルタントという立場では反省すべきことが多いのです。
日本側委員対国内組織と同じようなことが、日本側委員対海外委員との間でもある(あった)のだろう、と推測しています。

JIS Q 9005/9006を基準文書として議論した結果が9004:2009です。まず基準文書に選択されたことで日本側委員の目的の半分は達成したと考えるべきでしょう。多数の国の代表が参加する中で、日本側委員のすべての主張が通る筈はないのです。二国間の折衝・調整でさえそうですし、国連総会もしかりです。
委員の方々の努力/尽力には敬意を表しますが、決定された内容についての不満表明はいただけない、というのがコメントです。早くJIS Q 9004:2010が発行されることを希望します。英文の規格では説明も議論もしづらいので。

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