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9100規格  100422

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2010年4月22日 11:58

9100規格

「品質マネジメントシステム―航空、宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」に取り組み、規格解説のテキストを完成させました。4月6日付けのTOPICSにある通りです。
完成度は自己評価で合格点ギリギリといったところですが、9001と比べると大作です。手強い、要求事項がギッシリと詰まった規格です。

田中はタイヤ製造業に在籍中に「航空機用タイヤの品質保証」を4年間担当しました。航空機用タイヤに要求される性能(機体重量を支える強度、最大速度、上空/地上の温度差等)は、地上だけを走るタイヤに比べて格段に厳しく、航空機用タイヤを製造しているメーカーは極めて限定されています。
ただ、市場規模が小さいこととタイヤが必要とされる時間が離着陸時に限定されていることから、注目度が低いのが悩みでした。ちなみにF1用タイヤが注目度ナンバー1でしょう。
JRCAという、品質マネジメントシステム審査員の登録(要員認証)をする組織がありますが、「航空機用タイヤに関する経験」を「産業分野としての航空宇宙経験」として認めてくれません。

話を元に戻さないといけませんが、9100規格に新規に取り組まれる組織が増えつつあると聞いています。いいかげんに作っても良い製品などはありませんが、航空機用の部品に要求される性能(バラツキの小ささを含む)は厳しいものがあります。しっかりとした計画・設計に基づいて、管理された状態で製造プロセスを実行する必要があります。
規格の上でも9001に上乗せした多数の要求事項が定められています。一例としては、キー特性があります。キー特性の定義は『そのバラツキが、製品の取り付け、形状、機能、性能、耐用年数または製造性に重大な影響を与え、バラツキを管理するために特定の処置が必要な属性または特性』とされています。
キー特性は、ボーイング社が777機の開発に当たって、1991年10月にサプライヤーを集め、部品に対する新しい品質管理仕様書(D1-9000:Advanced Quality System)を提示した際に登場した概念で、製品性能に影響が大きい特性を選定し、検査でなく工程で保証することを要求したのが原点です。ボーイング社は、このD1-9000:AQSを作成するに当たって、日本の優良企業にミッションを送って調査(Japan as No.1という本が読まれていた頃です)⇒良いところを社内の品質管理システムに展開して数年の実績を積み重ね⇒良いものだと確信⇒サプライヤーに要求という手順を踏んでいます。元をたどれば原点は日本にあるわけで、その時はあまり注目していませんでした。9100規格はD1-9000をベースに発展した規格なので、少しずつ概念が拡大されて要求内容は厳しくなっています。

厳しい要求事項に対して、いかに重すぎないQMSとするか、コンサルタントとしては腕の見せ所と考えています。4月21日付けの週刊WING(航空新聞社発行)に関連記事がありますので一読いただければ幸いです。

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