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2009年7月 Archive

設計・開発の計画 090731

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2009年7月31日 15:51

設計・開発の計画

まず設計・開発についておさらいをしましょう。「設計・開発」の定義は「要求事項を、製品、プロセスまたはシステムの、規定された特性または仕様書に変換する一連のプロセス」です。要求事項には暗黙の了解のような、多少あいまいな概念が含まれていますが、これが設計・開発に対するインプットとなっています。一方、アウトプットは規定された特性または仕様書ですから、極めて明確なものです。インプット側にはあいまいな事項もあるけれど、アウトプットにはあいまいさが許されていない、という非常に厳しい業務であることがわかります。
実は、2000年版が発行されるまで、設計・開発には定義がなかったのです。設計と開発は違う概念なのかどうか、もし違う概念だとすると、順序はどちらが先なのかが不明でした。上記のように定義されて理解しやすくなったことは言うまでもありません。

設計・開発の対象ですが、用語の定義では「製品の特性または仕様書」だけでなく、「プロセスの特性または仕様書」もアウトプットになりえるのですが、9001規格の7.3.1項では「製品の設計・開発」に限定しています。非製造業の場合には「製品」=「プロセス」の場合があります(後述)が、製造業の場合にはプロセス設計は該当しない、と解釈しています。

7.3項(設計・開発)は9001規格の中で一番枝番号が多い項目で、7.3項全体がPDCA的な配列になっています。ただし、Doに関しての要求事項はありません。実行面では自由度が高いということです。

7.3.1項は「設計・開発の計画」で、設計・開発に当たっての計画が重要だということを示しています。通常、計画には完了時期(納期)を設定しますが、9001規格にはその要素が含まれていません。従ってコンサルタントの立場では「計画書を作成し、納期管理をする」よう提案しています。当然設計・開発の進行に応じて状況変化がありますから、計画は適切に更新します。

納期管理が重要だと考えているのは、設計・開発の終了後に製造プロセス、据付けプロセスなどが控えていて、製造した製品を顧客に納入したり据えつける納期が決められているケースが多いからです。設計・開発が遅れた場合でも顧客との約束は守らないといけないので、製造部門などの後工程に負担がかかることは避けるべきだからです。設計・開発のアウトプットそのものが顧客に納入する製品の場合もあります。その場合の納期管理が重要なことは言うまでもありません。

サービス(提供、業)においては、製品設計=サービス内容の特定=プロセス設計=サービスプロセスにおける活動計画、という関係が成立する場合があり、結果的に、設計・開発の計画=製品実現の計画(7.1項)となる場合があります。その場合には、7.1項記載の要求事項を7.3.1項に取り込んだほうがわかりやすいケースがあります。

13485/14971規格  090722

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2009年7月23日 10:26

13485/14971規格

13485規格の表題は「医療機器-品質マネジメントシステム-規制目的のための要求事項」です。
厚生労働省の考えとして、医薬品/医療機器/医薬部外品/化粧品という区分がありますが、医療機器の領分で国際的にはGHTF(Global Harmonization Task Force)という組織が活動して、医療機器による被害の低減を指向しています。
医療機器の目的が「疾病の診断、予防、監視、治療、緩和」を主としているのに、医療機器を使用することでかえって疾病が悪化したり、別の不具合が発生して無意味になってしまうことを避けたいということがGHTFの活動の原点です。
規制目的とありますが、ISOがNGOであることからすると珍しい規格と言えます。

7.1項(製品実現の計画)の中にリスクマネジメント実施の要求が含まれており、ISO14971(JIS T 14971)という手引が発行されています。表題は「医療機器-医療機器へのリスクマネジメントの適用」です。

9001の8.3項で「不適合製品に修正を施した場合には、要求事項への適合を実証するために再検証を行う」ことを要求しています。9001の世界では、修正を施す目的は検出された不適合を除去することで、再検証は手直しできたことを確認する行為です。しかし、14971の考え方を適用すると読み方が変わってきます。
たとえば、ある不適合を検出した場合、修正することでその不適合は除去されますが、実施した修正が新たな(別の)不適合を発生させる可能性があるのです。従って、再検証は「最初に検出された不適合が除去できたか?」+「新たな不適合を発生させていないか?」という観点でも行うのです。

事例を考えてみましょう。鉄板である形状を作りました。外寸が1.0mm長かったので0.5mmずつ両側を削り、外寸は設計図面通りになりました。しかし、厚みが0.5mm薄くなったことで、強度が要求事項を満たさなくなりました。
9001規格(13485でも同じです)の原文を読むと"When nonconforming product is corrected it shall be subject to re-verification to demonstrate conformity to the requirements"となっています。ここでのポイントは "requirements"と複数形になっていることです。再検証の対象が複数ある(ありえる)ことがわかります。

14971規格ではリスクマネジメントプロセスを次のように進めていきます。
意図する使用(intended use :9001の7.2.1項では、意図された用途と訳しています)及び医療機器の安全に関する特質(characteristics :特性)を特定する
⇒ ハザード(危険の潜在的な源)を特定する
⇒ 危険状態のリスクを推定する
⇒ 適切なリスクコントロール手段を特定する(目的はリスクの低減)
⇒ リスクコントロールを実施する
⇒ 残留リスクを評価する
⇒ 新しいハザードまたは危険状態が取り込まれるか調査する
⇒ すべての特定されたハザードをレビューする 
⇒ ・・・以下省略
この流れのポイントは「新しいハザードまたは危険状態が取り込まれるか?」のレビューです。

不適合の除去とリスクの低減では場面が違いますが、よかれと思って実施したことで新たな不適合が発生することを避けるべき点では共通しています。
リスクコントロールは予防処置の意味合いが濃い(余裕がある)のに対し、不適合製品管理は現実に不適合が発生し、早く処置しなければという差し迫った状態なので、心のあせりから「新たな不適合」にまで気が回らない可能性があります。くれぐれもご注意ください。

13485規格は2003年版が最新版(JIS Q 13485の最新版は2005年版)、14971規格は2007年版が最新版です。JIS T 14971の最新版は2003年版で、2007年版の全ては反映されていません。

校野球(続き)  090720

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2009年7月20日 17:21

高校野球(続き)

関東地方も1週間前に梅雨明けして、地区予選も試合数がピークを迎えています。わが母校も17日に西東京大会の1回戦を迎えました。

八王子市民球場の雨上がりのグラウンドは、整備員の努力が実ってちょうどよい状態でした。薄曇りの天気で微風、すこし湿度が高いことを除けば、観戦する側にとっても試合をする方にもベストコンディションでした。
試合のほうは、13対0(5回コールド)で圧勝しました。同期生での応援はもう1名でしたが、ちょっと点を取り過ぎだね、2回戦で大振りしなければいいが、と感想を述べあいました。彼は高名な弁護士ですが仕事の合間を縫って、田中は仕事をパスしての応援でした。


2回戦は20日で、科学博物館を優先したので観戦できませんでしたが、勝ちました。次は22日、いよいよ強豪との対戦です。是非がんばってほしいです。野暮用があり、応援に行けません。

1980年頃の思い出  090710

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2009年7月10日 13:32

1980年頃の思い出

前回に引き続き想い出話で恐縮です。090610で、GM、Chryslerに関する話を書きましたが、思い出したことがあります。1979年か1980年のことです。

その頃、田中はある自動車(足回り)部品メーカーに勤務し、FRP(繊維強化プラスチック)を素材として新製品を開発する仕事をしていました。当時その分野ではアメリカが先進的な活動(OCF:Owens Corning Fiberglass社等が主導)をしていたので、FRP工業会として調査活動を定期的に行っていました。講演を含むFRP展示会がニューオーリンズであり、その年は田中が参加しました。

既にその頃、アメ車はガソリンを無駄に消費する(がぶ飲みする...この言葉に対応するslangがあったのですが失念)ので非効率だ、という反省のもと、コンパクトカーを指向していました。GMはコルベットをモデルとして、外板をプラスチック化する(FRPを使用することで、軽量でも強度を出せる⇒ガソリン消費量を低減できる。また鉄板の加工と違って形状面での設計自由度が高い。)構想を持ち、試作品を展示していました。実際にGMのトラックではフロントのバンパーがFRP製、というものが既に走っていたのです。日本ではまだそのような動きはありませんでしたから、すごいなあ、さすがアメリカは違う、という印象で帰国したものです。
その後、社内的には自動車部品(外板)のFRP化のFeasibility Studyがひっそりとスタートしました。

最近のGM、Chryslerに関するニュースを聞くと、状況は全く変わっていないようです。「ガソリンがぶ飲み」に対する対策を怠ってきたことが鮮明です。あの時田中が感動したのは何だったのでしょう?コンパクトカーの分野は日本が得意で、USA向けの輸出が増えていることは知っていましたが、品質管理とかQMSという話以前の世界、より上位の概念でのマネジメントの話です。

経営方針そのものに不備があるように感じますが、この話を9001の項目と結びつけるなら、7.2.1 b)になるでしょうか。「顧客が明示してはいないが、指定された用途または意図された用途が既知の場合、それらの用途に応じた要求事項」とあります。「既知の用途に応じた要求事項」は、この場合「日本車に近い燃費」ということになります。

高校野球  090701

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2009年7月 1日 12:33

高校野球

今年もまた、甲子園を目指して高校野球の地区予選の時期となりました。田中の母校は西東京大会に出場します。

都立高校の中では3番目に敷地が広い、というのが唯一の自慢の学校でした。サッカーとラグビーのグラウンドが縦横にフルサイズで取れ、外野のフェンスがないので野球ではランニングホームランが出やすい、広大なグラウンドです。
その頃お世話になった体育の先生は昨年亡くなってしまいましたが、体育の授業でサッカーのときには(サッカーは冬で、グラウンドのへこみ部分はぬかるみでしたから)わざとぬかるみの方に蹴って、大勢でなだれこんで楽しんだ記憶があります。

野球部ではありませんが、田中も学業は二の次で部活をしていたので、球児が懸命に練習し汗まみれで頑張る姿が好きです。当然のように地区予選の応援に行きます。
応援仲間もいます。卒業して50年近く経って、自由な時間が増えたのも一因ですが、「おう、今年も来たか」とお互いに確認し合うのもいいものです。応援に来られなかったヤツが携帯で様子を聞いてくる場合があり、居酒屋から返事をすることもあります。

母校の生徒も応援に来ますが、期末試験と時期が重なり、あまり盛り上がりません。バラスバンドも来ますが文化祭(中間/期末試験と無関係の時期に開催)の時の三分の一くらいです。相手校と比べて応援が盛り上がらないのも、規律にうるさくない(制服がありませんでしたし、今もありません)母校らしくていいかな、とすべて許容してしまう年齢になったことを感じます。

マネジメントシステムがどうだとか、効率化がどうだとかいうことは全て忘れて、応援をします。

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