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2009年6月 Archive

自己評価(9004)  0906024

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2009年6月25日 13:23

自己評価/成熟度レベル

0904006のブログで9004規格を取り上げました。9001規格に適合しているだけではQMSの改善は期待できない、9004規格に取り組まなければいけない、という主旨です。

9004規格(2000年発行、現在改訂作業中)の序文には次のようなことが書いてあります。「組織の目的は次の事項である。顧客及びその他の利害関係者のニーズと期待を明確にし、満足し、競争上の優位性を達成し、これを効果的で効率的な方法で行う。組織の総合的なパフォーマンス及び実現能力を達成し、維持し、そして改善する。」 ...... 違うとお考えの方は、以下を読んでいただく必要はありません。

今日の話は、どのように9004に取り組むかではありません。9004に書かれている内容は9001よりハードルが高いものですから、すぐにでも対応しましょうとはならないからです。9004規格の附属書A(参考)についての情報を提供するものです。
そのままを書き写すと著作権侵害で訴えられる可能性がありますから、規格そのものを購入いただきたいのですが、購入チャンスは2009年版発行後です。

附属書A(参考)の表題は「自己評価のための指針」です。9004規格の8.2.1.5項で引用されているのですが、経営者の立場にある方が自己評価を実施すべきこと、組織の有効性や効率並びにQMSの成熟度に関する判断ができるようにすべきことがまず書かれています。内部監査とは視点が違うということです。
成熟度については附属書Aに書いてありますが、5段階のレベルがある、としています。
レベル1:体系的なアプローチが不明確、成果が出ていない(不満足な成果)、成果が予測できない。
レベル2:問題又は是正に基づいた体系的なアプローチ。改善の成果に関して最小限のデータがある。
レベル3:体系的な改善の初期段階。目標に対する適合に関するデータがあり、改善の傾向がみられる。
レベル4:改善プロセスを用いている。好結果が出ており、改善傾向を維持している。
レベル5:しっかり統合した改善プロセスがある。クラス最高の、ベンチマーキングの成果が実証されている。

どのレベルにあるかを確認するために、いろいろな質問事項が用意してありますが、自己評価の第1ステップとしては、定性的でかまわないので、現在のレベルがどのあたりかを見極めること、当面(数年後に)どのレベルにまで引き上げたいかを決めることでよいと思います。
第2ステップは、個別の質問事項に対して評価し、自組織の強み弱みを把握⇒弱い点の補強と強い点のさらなる強化を計画することです。
普通、PDCAを回す時にはPlanからスタートするのですが、自己評価は、Checkからスタートするのです。現状認識なしでいきなり計画を立てるのではなく、十分に分析した結果をもとに計画したほうが確実な成果を期待できます。

質問事項等については、またいつか説明したいと思います。

(追記) 前回言及したISO/TS16949は、6月15日に改訂版が発行されました。思いが通じたのでしょうか?

他山の石   090610

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2009年6月10日 15:33

他山の石

ISO/TS16949という規格があります。品質マネジメントシステムの範疇で、自動車関連のセクター規格で、現在有効な版は2002年版です。
TS(Technical Specification)は、規格への賛同が3分の2以上4分の3未満のときに発行され、3年以内に改訂し、再度投票して国際規格(IS)に昇格する(4分の3以上の賛同を得る)か廃止する、という規定がありながら、2002年以降改訂されていません。

ISO/TS16949はAIAG(Automotive Industry Action Group)が主導し、IATF(International Automotive Task Force)が認証機関を認定しています。9001規格に先進的な要求事項を付加したもので、究極的には安全安心な車社会を目指しています。しかし、規格の制定改訂に関してはISOのルールを守っているとはいえないもので、2005年版は発行しないが2008年版を発行する⇒2008年版は発行しないが2009年版を3月末までに発行する、と説明が次々に改訂されてきました。
田中の調査能力不足かもしれませんが2009年3月から2か月を経過しても、未発行で、なぜ発行が遅れているか、正式な説明はありません。

Chryslerに続いてGMがChapter 11を適用することになりました。
GM、Ford、Chryslerは16949規格制定に大きな役割を演じてきたのですが、会社自体が存亡の危機にある今、ISO規格どころではない、というのが改訂作業遅延の理由だという説があります。複数の認証機関の方がおっしゃっていました。
このことについて、本当にそうなのか?とずっと考えてきましたが、最近気づきました。

以下はあくまでも憶測ですが、因果関係が逆なのです。
2005年版の改訂作業さえできない状態が、GM、Chryslerの社内(QMS担当部門)にあったのです。田中が以前所属していた会社でQMSに携わっている人は、やるべきことはキッチリやる、社内は別としても対外的な約束は必ず守る人ばかりでした。
GM、Chryslerは、対外的な納期・約束を守らなくてもなんとも感じない組織になってしまったのでしょう。いったんそのような組織になってしまうと、信頼できるアウトプットを生み出すことができなくなってしまいます。「他山の石」という言葉がありますが、心しなければいけないと思います。

論理が飛躍しているかも知れませんが、GM、Chryslerの今日の姿の芽は2004年あたりからあった、というのが田中の憶測です。

職業病  090604

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2009年6月 4日 10:17

職業病 

田中はある種の職業病にかかっています。

6月4日、今日は何の日ですか?
標準的な答えは「虫歯予防デー」です。少しマニアックな人は、「虫の日」だとか「ローメンの日」だとか言います。「虫の日」は手塚治虫が呼びかけて日本昆虫クラブで定めたもの、「ローメンの日」は長野県伊那市の商工会議所が制定したもので、ローメンは伊那市の名物だと、どこかに書いてありました。
近現代史に興味を持つ人は「天安門事件」が20年前に起きたことを真っ先に挙げるでしょう。

田中は6月4日というと、「ああ、9001規格では作業環境という要求事項になっている数字だ」と思うのです。これすなわち職業病。8月24日には「製品の監視測定」をしなければいけない、などと考えています。

作業環境に関しては手順書作成の要求がないので、あっさりした記述が品質マニュアルにされているだけで横着を決め込んでいる組織も少なくないのですが、重要な項目です。「製品要求事項への適合を達成するために必要な作業環境」を明確にし、運営管理しなければいけません。作業環境は空気のようなものですから、意識して検討しないと「当組織には特記すべきものはない」などとマニュアルに書いてしまいます。

事務所衛生基準規則という立派なものがありますから、当社のような業態を含め、必ず「製品要求事項への適合・・・作業環境」はあるのです。この基準規則は、昭和47年9月に労働省令として発令されています。田中は1968年に社会人になったので、4年半後に省令ができて、ほやほやの頃に勉強した記憶があります。
「事業者は、労働者を常時就業させる室の気積を、設備の占める容積及び床面から4mをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、10㎥以上としなければならない」とか、「事業者は、室を冷房する場合は、当該室の気温を外気温より著しく低くしてはならない。ただし、電子計算機を設置する室において、その作業者に保温のための衣類等を着用させた場合は、この限りでない」等々の条文が並んでいます。

みなさん、一度気積を計算してみてください。
田中が生活しているこの事務所は、天井高さは3mちょっとしかないので、10㎥以上を確保するには一人当たりの床面積が3.3㎡以上必要という計算になりますが、十分な気積を確保しています。

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