- 2009年6月10日 15:33
他山の石
ISO/TS16949という規格があります。品質マネジメントシステムの範疇で、自動車関連のセクター規格で、現在有効な版は2002年版です。
TS(Technical Specification)は、規格への賛同が3分の2以上4分の3未満のときに発行され、3年以内に改訂し、再度投票して国際規格(IS)に昇格する(4分の3以上の賛同を得る)か廃止する、という規定がありながら、2002年以降改訂されていません。
ISO/TS16949はAIAG(Automotive Industry Action Group)が主導し、IATF(International Automotive Task Force)が認証機関を認定しています。9001規格に先進的な要求事項を付加したもので、究極的には安全安心な車社会を目指しています。しかし、規格の制定改訂に関してはISOのルールを守っているとはいえないもので、2005年版は発行しないが2008年版を発行する⇒2008年版は発行しないが2009年版を3月末までに発行する、と説明が次々に改訂されてきました。
田中の調査能力不足かもしれませんが2009年3月から2か月を経過しても、未発行で、なぜ発行が遅れているか、正式な説明はありません。
Chryslerに続いてGMがChapter 11を適用することになりました。
GM、Ford、Chryslerは16949規格制定に大きな役割を演じてきたのですが、会社自体が存亡の危機にある今、ISO規格どころではない、というのが改訂作業遅延の理由だという説があります。複数の認証機関の方がおっしゃっていました。
このことについて、本当にそうなのか?とずっと考えてきましたが、最近気づきました。
以下はあくまでも憶測ですが、因果関係が逆なのです。
2005年版の改訂作業さえできない状態が、GM、Chryslerの社内(QMS担当部門)にあったのです。田中が以前所属していた会社でQMSに携わっている人は、やるべきことはキッチリやる、社内は別としても対外的な約束は必ず守る人ばかりでした。
GM、Chryslerは、対外的な納期・約束を守らなくてもなんとも感じない組織になってしまったのでしょう。いったんそのような組織になってしまうと、信頼できるアウトプットを生み出すことができなくなってしまいます。「他山の石」という言葉がありますが、心しなければいけないと思います。
論理が飛躍しているかも知れませんが、GM、Chryslerの今日の姿の芽は2004年あたりからあった、というのが田中の憶測です。
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