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2009年5月 Archive

自己宣言  090527

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2009年5月27日 15:20

自己宣言 

ISOのマネジメントシステム規格は第三者認証をベースとしていて、認証の取得/継続が顧客との取引継続の条件になっている場合もあります。第三者による評価は取引関係がない(供給者対購入者の関係、すなわち利害関係がない)ので有効だと考えていますが、評価を受ける側が費用を支払うので全く利害関係がないとは言えないとの説もあります。

今回のテーマは自己宣言ですが、17050-1、17050-2という立派な規格がISOにもJISにもあるのです。規格名称は、適合性評価―供給者自己宣言―で、第1部(17050-1)一般要求事項、第2部(17050-2)支援文書となっています。
どちらもISO制定は2004年で、JIS化は2005年7月です。9001規格は2000年版以降「組織」と呼ぶようになったのに、依然として「供給者」という用語を使用しているのが気になりますが、第二者、第三者の評価をまたずとも、一定の要件を満たしているなら自己宣言できるというものです。
朗報ではありませんか!?

供給者適合宣言(Supplier's Declaration of Conformity)という表現を使わず、単に適合宣言(Declaration of Conformity)という表現もOKだと、適用範囲に書いてあります。

制約条件としては、ざっと次のようなものです。
(1)第三者認証との混同を避けるため、自己認証という表現を避けること
(2)適合宣言の発行者(宣言する人)は、「○○に適合している」ことに責任を持つこと
(3)当然適合性評価を行い、その結果に基づくこと
(4)適合性を評価する機関は該当する規格、ガイドライン、規準文書を参照すること(適用できる場合)
(5)適合宣言の対象が製品(もの)の場合には、ある期間の特定の製品に限定すること
(6)適合性評価結果をレビューする人は、署名者と異なるものであること

ちょっと難点は、(4)項でしょう。
第三者評価の場合、認証機関が「適合性を評価する機関」となりますが、マネジメントシステムの認証機関に対しては、ISO 17021:2006 "Conformity assessment - Requirements for bodies providing audit and certification of management systems"というガイドラインがあり、JABもこれに準拠して認定活動を行っています。
一方、自己宣言において適合性を評価する機関は一般的には組織内部となります。組織内部で適合性を評価する部門またはアドホックな組織に対しては明確なガイドラインはありませんから、自主的に定めることになります。内部監査よりは厳密な考え方を定め、それをベースに外部からみて適切と判断できる規準を定めることになります。「適切と判断できる」のイメージは、CSR報告書でよく見かけるようになった「第三者コメント」をどなたかに書いてもらえるレベルです。

ISO規格も、議論を開始する段階ではここに書いたレベルだったろうと思います。

自己宣言研究会に参加しませんか?

9001の不振  090518

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2009年5月18日 10:53

9001の不振

ISOのマネジメントシステム規格は第三者認証をベースとしています。せっかく規格に適合したシステムを構築運営しているのだから、審査を受けることで適合性を第三者に証明してもらおうというもので、顧客によっては認証取得が取引継続の条件になっています。

2006年第4四半期までがピークで、9001認証登録組織数は減少し続けています(JABホームページから)。14001も頭打ちの状況です。この原因は一つではないと推定しています。
① 建設土木関係では、公共工事受注に関するゼネコンを頂点とするISO認証取得のメリットがなくなってしまった、
② 自動車部品業界は16949規格に取り組んだ結果、9001の取得データから切り離された、
③ Output Mattersとして問題になった、"認証を取得している立派な組織でありながら"マスコミをにぎわす不適切な活動をしていることで、認証のお墨付きに対する信頼性が低下した、
④ JABにつながらない、海外の認定機関に登録する組織の増加
等が主要なものでしょうか。

私どもは、日本国際規格コンサルティング⇒KPMGエムエムシー⇒レイセントコンサルティングと名前を変えてきましたが、一貫して次のような説明をしていきました。
「9001に取り組んでも実体が伴わない、すなわち、不良や顧客苦情が減らないのは、規格が悪いのではなく取り込み方が悪いせいです。」

以前書いたように、9001に取り組むだけでは不十分で、9004に取り組むのが正しい方向だという考え方が明確にされましたが、それは9001という規格がダメだということでは決してありません。9001に書いてあることだけ実施すればすべてがうまくいき、バラ色の世界が待っていると考えるのは幻想だと、飯塚先生はおっしゃりたいのでしょう(推測)。

9004に取り組みたいのでコンサルティングをしろ、というご要望があれば喜んでさせていただきます。ただし、9001に既に取り組んだ実績があることが最低限の条件です。9004規格は顧客及びその他の利害関係者を念頭においてシステムを構築します。規格序文にはその他の利害関係者の例として、組織内の人々、供給者、オーナー、社会が挙がっています。供給者の要求事項も取り入れるので、9001規格より人間的なシステムになる可能性もあります。利害関係者間の利害(要求事項)がバッティングした場合の考え方は微妙ですが、一緒に考えてみませんか?

ベストソルーションは無理としてもモアベターな解を目指しましょう。

ボランティア活動  090508

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2009年5月 8日 10:36

ボランティア活動

若干ネタ切れの感がありますので、今回はマネジメントシステムと無関係な話題です。

田中はこの4月から国立科学博物館(台東区上野公園にあります)で教育ボランティアの活動を始めました。ボランティアには自発的とか、無報酬という、いくつかの原則がある、と研修(3月中に4日間)で教えられました。

実績としては、まだ3日間だけですが、実際に始めてみるとお金には換算できない、新たな発見や驚きに出会うことになります。ボケ防止にもなりますし、いろいろな方にお勧めしたいです。年齢を問わないので、一緒にスタートした仲間も20代から60代まで幅広い層になっています。学生さんも結構います。先輩の中には、20年以上続けていらっしゃる方、80代になってなお、活動されている方等さまざまです。女性の比率が高いのですが、来館者からすれば女性に話しかけられるほうがいいかもしれません。

科博(略称です)はボランティア活動の歴史が長いせいでしょうか、活動全体の管理は標準化されています。しかし、サービス業の要素が高いので、担当者による違い(バラツキ)はあります。これを適切な状態と考えるか、もっと標準化を進めるのがよいのか、意見が分かれるでしょう。

何回も経験していることですが、標準化することで個性を埋没させてしまうと、味気ないサービスになり、顧客満足から遠ざかることになりかねません。特に感じるのは、ファーストフードのお店で紋切り型の説明/問いかけを受けるときです。社会経験の少ない若者が、この通りしゃべればいいのか、この角度で頭を下げるのがベストなのかと信じきってしまう場合が一番まずいと思います。マニュアルを棒読みにすると温かみは全く伝わらずシラケに近い状況になります。

コンサルタントの仕事も標準化しにくい面があります。お客様には標準化だとか、手順の文書化だとか言っている手前、使用すべきツールは揃えますが使用方法はさまざまです。クライアントによって事情が千差万別(大袈裟な表現:過去のクライアントは数百しかありません)ですから当然かもしれません。
業務の標準化も製造業とサービス業では違うのかな?と感じる今日この頃です。

話がだんだん博物館からそれてきました。ボランティア活動における楽しさや充実感については、またの機会とします。

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