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2011年4月 Archive

リーダーシップと行動 2011.4.1

  • Posted by: 岩田美知行
  • 2011年4月 1日 11:41
  • 一般

 日本にとって、未曾有ともいえる震災の影響を受けて、福島の原子力発電所が危機を醸し出している。

 温暖化対策が叫ばれる中、エネルギーの切り札として世界的にも原子力発電が見直され、世界各地で原子力発電所の建設が進もうとしている矢先の事故である。
 3月11日に地震及びその後の津波により、原子炉の緊急停止はできたものの、冷却系統が破断し、冷却が進まない中で、建屋の爆発、放射線の空気中への放出、海水への混入という事態になっている。

 政府や、自衛隊、東京電力などの組織を上げての対応を行っていることは報道機関の発表でも理解できるものの、その発表内容は何とも頼りない感じを受ける。

 事故以来、保管プールの冷却が出来なくなったため、緊急対応として、消防車や、コンクリート圧送車によってプールの数倍に及ぶ海水を放水している以上、これらが燃料棒から発する熱で全て蒸発することはありえず、建屋内、あるいは周辺施設に滞水することは自明であったが、現状は溜まる汚染水の処理のために作業が困難な状況となっている。しかしこれらは当然予測出来たことであり、事前に滞留水の処置をどのように進めるかも、同時並行的に対策が行われなければならないものであった。
 また、放射線の高い中を、人々の賢明な作業により外部電源の復旧により電気がコントロールセンターに供給されるようになったが、モータが海水を浴びて、交換しなければならない事態が判明し、予備のモータを他の原子力発電所から取り寄せるといった事態が発表されている。あれだけ大きな設備が津波によって失われた状況からみれば、各種の電子機器も津波の影響を受けており、交換しなければならないはずであり、他の原子力発電所において修理・あるいは点検用の機器が備わっていれば、総力を挙げて通電作業と並行して機器の集約を進めておくことが求められたはずである。
 まさに、今回の事態は、チェルノブイリ、スリーマイル事故に匹敵する3大原子力事故であり、これらの事態の深刻な状況下にあって、誰がこの危機を収束させるリーダーなのかが外部からみて見えてこない。
 東京電力という一民間企業の社長ではないはずである。
 しかし、その顔は事故が発生してから20日が過ぎようとしているなかでも、まだはっきりと見えないのは私一人であろうか。
 きしくも、今朝の日本経済新聞社の朝刊でジョージ・W・ブッシュ米国前大統領の"私の履歴書"が始まり、丁度10年前の2001年9月1日に9.11事件が起こり、その中で、
"指導者たるもの、どのような危機に際しても泰然自若とすべし"との意識のもとに、行動を危機に対処したとのくだりがあった。
 今の、日本において求められているものの一端を垣間見た感じがした。

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