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品質 Archive

日本の技術主役交代? 2011.01.05

  • Posted by: 岩田美知行
  • 2011年1月 5日 14:59
  • 一般 | 品質

1月5日の日本経済新聞朝刊の一面にこんな記事を見つけました。
鉄道や医療・・・・・日本の技術・規格 国際標準化へ官民連携
 政府の知的財産戦略本部は、鉄道、水道事業、人ゲノムを活用する先端医療、次世代自動車、家電製品等を戦略分野に選定。官民の連携組織を新設して国際機関に日本標準による規格統一を提案し、交渉を優位に進める。
 日本で新しく生み出された新技術である地上デジタル放送や新幹線、あるいは原子力発電、IPS細胞等の先端技術、優れた技術がありながら国際化に遅れて、市場が立ち上がった時点で競争力を失っているものが多々あることは事実である。
 純粋に技術のみを追求し、顧客の期待あるいはニーズと異なった方向に進んだり、あるいは世界標準化の意識が薄いため、同種のもので国際標準を得た他の企業、あるいは他の方式がISO化され、開発した企業はその国際基準に縛られて、日本国内以外では中々か販売出来ないといった事が過去数多く散見されている。
 地球温暖化対策を進めるうえでも、日本の各種製品は優れたエコ力をもっており、まさに地球的規模で活用が望まれるものである。しかし、いったんグローバルベースで製品を導入しようとなると安全面、規格面で標準化されているかどうかが決定的要素となる。
 このような状況にあって、初めてといえる政府が音頭をとって官民連携して国際標準化に取り組むことは明日の日本の技術立国を確立するうえで、最も必要かつ不可欠なものであると思う。
 政治はリーダシップを欠き、迷走しているが、民主政権になって官民一体となった海外市場の開拓や、資金援助時に日本の技術採用を働きかけるなどの動きが目に見える形で花開こうとしてきており、このような動きを一段と加速して欲しいものである。

ISO崩壊?

  • Posted by: 岩田美知行
  • 2010年4月22日 11:44
  • 一般 | 品質

TS3J0154.jpg 昨日本屋を覗いたら、専門書のコーナーに"ISO崩壊"の本が棚にあった。
 ISOと云えば、フィルムの感度や、最近ではブルーレイの規格など製品規格を示すものが大半である。一部の規格にISO9001に代表されるマネジメントシステム規格といわれるものがあり、必ずしもISOが崩壊しているかのような表現は正しいものではない。
 さて、タイトルの話は別として、確かにISO9001の登録数は国内では激減しているものの、このような環境下でも、新たにチャレンジしている企業も多数あり、そのような企業のISO9001取得目的は、顧客からの要請、あるいは自社の成長のため、社員育成のため等、積極的にISOを経営に取り入れ、品質を維持・改善しようとしている企業である。
 現在、日本の中堅・中小の企業においても、技術力、商品力、販売力等において優れた競争力を持つ所も少なくない。これらの企業がISO9001に取り組むにあたっては、企業経営の柱となるシステム構築と運用に心がけて欲しいものである。
 今日までのISO9001は残念ながら第一版の品質保証という領域の亡霊を色濃く引きずっており、構築するマネジメントシステムは日本人の特性である律儀さからか規格を忠実に再現することとに構築・維持の大半を費やしているように思える。
 ISO9001は、企業の事業戦略や、事業方針を受けて、すなわち経営者がたてる経営計画の元に、製品やサービスをどのように構成し、提供していくのか、提供している製品や、サービスは顧客のニーズに合致しているのか、顧客は満足しているのか等、経営者が常に考え、実践しようとしている課題を、実証していくマネジメントシステムであるはずである。規格はそのように構成されている。
 しかし、現実のシステムは製造部門や、サービス部門、あるいは品質保証部門等の現業レベルで維持され、経営トップが係わるのは、一般的には一年の中で数時間程度行われる、経営者による見直しによる関わりぐらいとなっている。このような仕組みでは、マネジメントシステム規格が狙う本質的な効果を得ることは困難である。
 当社では、ISO9001に取り組む組織にあっては、上記に記したように企業が経営を進める上での柱としてのシステム化と認識し、真の意味でのマネジメントシステム作りをご支援しようと心掛けている。

2010.02.28 偽装問題における報道のあり方に疑問?

  • Posted by: 岩田美知行
  • 2010年2月28日 21:33
  • 品質

馬車道.jpg 先週末に仕事で、横浜の馬車道に行ってきました。そこには何と横浜で一番早く咲くと云われている桜が可憐に咲いていました。港町として歴史のある郵船ビル前の通りに、2本ひっそりと佇む姿に、思わず携帯電話に収めてしまいました。
 今月10日付けで日刊紙に小糸工業の航空機の椅子に関する偽装問題が報道された。航空機の椅子の材料強度、シートの耐火性に関して国交省から承認を得たものと別の素材を使用して納入を続けたという問題である。その偽装期間も殆ど当初からということで10数年及ぶというものであった。
  偽装が明らかになった発端は内部告発によるものであり、公益通報者制度が機能したという点は評価できるものの、何故これほどの長きに亘って偽装が続けられたのか組織風土を疑がわざる得ない。
  航空機という閉鎖された空間の中で、座席の強度や、耐火性が問われる局面はまさに緊急事態下であり、発生の確率は極めて少ないとはいえ、その事態が生じたときに安全が確保されない可能性が高いということである。
 別の視点から捉えた場合、数年前に大きな社会問題にまで発展した食品の賞味期限の偽装や、建物の構造計算偽装よりは、はるかに生命の危機に直結する偽装ではないかと筆者は思う。その割には、今回の偽装問題は、一回紙面に報道されただけで、その後忘れ去られたようになっているこの状況は、何故か報道が偏っているものと思えてならない。
 現在、同社のISOの品質システムの第三者認証はこの問題を契機として認証機関から一時停止処分を受けている。また認定機関である日本適合性認定協会もこの事実をいち早く公表し、その後の是正を注視するとしている点は評価できる。
 余談部分であるが、品質に関する規格はISO9001が一般に馴染みのあるものであるが、航空機に関しては最近AS9100、国内においてはJISQ9100が発行され、今後これらの規格への移行が進むことにより、今回のような偽装が無くなることを期待したい。

2009.7.21 BSCとISO9001の活用

  • Posted by: 岩田美知行
  • 2009年7月21日 17:12
  • 品質

 今回も6月28日続いてISO9001の運用上の疑問について取り上げてみたいと思っています。
 ISO9001を構築し、運用を始めてから数年程経つと多くの組織が感じ始めることの一つに、ISO9001を構築・運用しているものの、なかなかアウトプットが上がって来ないといった素朴な疑問。
 ISO9001の規格自体の構造がパフォーマンスを上げるための規格とはなっていないにもかかわらず、ISO9001のシステムを構築し、維持し、審査も受けているのだからパフォーマンスが上がってくるものと誤解されていることに原因があるようです。ISO9001を構築運用しているだけではパフォーマンスが上がらない理由は、ISO9001のマネジメントシステムは自ら設定した品質を維持していくことに主眼があるからです。
  そのようなことから、筆者は某お客様の9001の仕組みの中で、マネジメントレビューにBSCを導入してみました。トップが掲げる品質方針をどのように実現していくのか、その要素を財務的視点、顧客の視点、プロセスの視点、人的視点の各々視点からキーとなる項目を見つけ出し、KGI,KPIを設定し、それをブレイクダウンし各部門に展開することで、可視化し日常的に活動をウオッチしていくことのフレームを構築しました。
 この会社は、すでにBSCを用いて戦略の実現ツールとして活用していたこともあり、9001の品質方針実現のための手法としては比較的スムーズに導入でき、馴染みも早ったことから、効果も高かったと感じてます。
 9001を構築、運用されている多くの会社で、パフォーマンスを上げていくには、9004への切り替えや、他のマネジメントツールとの融合を通して、有効性、効果性を確保していくようチャレンジされれば、経営者の期待に応じられるものと筆者の経験上思います。


 

2009.6.28 QMSを効果的に経営に活用するにはマインドチェンジ重要

  • Posted by: 岩田美知行
  • 2009年6月28日 16:52
  • 品質 | 経営

TS3J0073.jpg  「6月7日の品質システムを生かして使うには」の個別テーマです。 世界中で普及したISO9001ですが、ここ近年世界的に登録数が伸び悩んでおり、日本においてはここ数年純減しています。
 一度、規格や基準が作られると環境が変わっても変更されないといったことは少なくない中で、ISOのマネジメントシステムは、専門の委員が真剣に検討し、環境変化に対応しつつより良いシステムづくりを目指し、原則として5年に一度社会情勢に合わせて、改訂される画期的なシステムであるにも関わらず、登録数が減少している原因は何なのでしょうか。
 長年にわたりISOマネジメントシステムの構築に携わってきた者の一人として、残念でたまりません。一方私自身経営者という立場であり、独善的に私見を述べさせてもらうと、現在大方のQMSが経営者の考えているマネジメントシステムのありようと大きくズレてしまっているといったことに原因があるのではと思っています。
 そもそも、ISOマネジメントシステムは2000年版で大きく規格概念が変わったにもかかわらず、以前として品質保証に関するシステムといった誤解を持たれておられる経営者が多いのではと思っています。そのためか、QMSの大半の活動を管理責任者に任せきりとなり、形式的なマネジメントレビューに係る程度で審査に臨んでいるような状況に陥ってしまっているのではないでしょうか。こんな状態ではISOの認証を得ていても、経営に活かすといった気持ちには到底なれないでしょう。
 経済状況が著しく悪い中で、多くの経営者の方々はどのようして経営を維持し、発展していくか七転八倒されている状況にあるのではないでしょうか。まさに、方針が問われているのです。経営戦略如何によって経営方針も変わります。経営戦略が変われば、また、提供する製品やサービスも変わるはずです。例えば、トヨタや、ホンダ自動車を始め多くの車体メーカーは環境対応車の開発・発売に注力する戦略をとって世界市場での生き残りに社運をかけようしています。そうすると、部品メーカーにおいても、従来のエンジン自動車に必要な部品から、電池やモータ関連への技術シフトを進めて行かなければ生き残れなくなります。
 ISOマネジメントシステムはこのような戦略を転換せざる得ない事態においても、経営戦略に基づき品質方針を明確にし、目標を建てさせ、実行させていくようプロセスを設計・運用することによって経営者の意思をシステムに落とし込むことが可能となります。経営戦略実現のための手法としてQMSを活用する。
 まずは、経営者の皆さんがマネジメントレビューで報告を受けるといった係りから一歩、あるいは数歩踏みだしてトップダウンでQMSを運用されることを実践してみては如何でしょうか。
 このような時代だからこそ、マインドチェンジが必要です。

2009.6.7 品質マネジメントシステムを経営に活かして使うには

  • Posted by: 岩田美知行
  • 2009年6月 5日 10:31
  • 品質 | 経営

TS3J0069.jpg ISO9001品質マネジメントシステムは日本国内でJAB登録をしている企業数が40,000組織を超えるほどにまでなってきている。但し、ここ近年登録数は経済状況の悪化という状況もあり減少傾向にある。
 しかし、品質マネジメントシステムが目的としている、製品やサービスの提供といった事業の基本となる部分の信頼性を担保するシステムであることを前提とすれば、このような厳しい時代だらこそ、しっかりとした品質管理体制を確立、維持し、顧客の信頼を増していくチャンスであると考えるのは私一人であろうか。
 そのようになっていないのは、経営者にとって国際的なマネジメントシステムを導入していながら、それを経営に役立てきれていないところに最大の問題があるのではと考えられないだろうか。
これを機会に、経営に活用するためのマネジメントシステム化へのチャレンジをしてみては如何ですか。まずは、自社のシステムを見直す上での検証の切り口として以下の項目をチェックしてみてください。
1. 会社が目指すビジョンを実現するための品質方針が明確になっているか。
2. 短期の経営戦略と品質システムが対象とする範囲は一致しているか。
3. 品質システムは少なくとも3年に一度は大幅に改訂し、経営の変化に対応できているか。
4. 従業員の力量と、人事考課、教育システムはリンクしており従業員の意欲向上や、レベルの向上に結びつく仕組みとなっているか。
5. 現場のプロセスは普段に改善する仕組みが品質マネジメントシステムの中に組み込まれているか。
6. マネジメントレビューは形式的なものでなく、適切な間隔で実施され、そこで報告され、決定する事項は現場の運営に生かされているか。

このような経済環境だからこそ、審査機関向けのISOシステムではなく、自社の経営のためのISOに大きく舵を切るチャンスではないでしょうか。

2009.5.31 マネジメントシステムに関する一考察

  • Posted by: 岩田美知行
  • 2009年5月31日 19:50
  • 品質 | 経営

TS3J0062.jpg  今日は、我々のサービスの一つであるISOマネジメントシステムについて、私自身経営トップとして感じている点について、触れてみたいと思います。
 QMS認証を取得している組織が、継続的に不良を出したり、また法令違反をしたりと、不祥事が続いていることは皆様も知っての通りです。また、QMSの認証登録数も絶対数が2008年の初頭から減り続けており、曲がり角に来ているのとの話も巷では聞こえてきます。
 我々は、これらの仕組みの構築・運用を主に支援してきており、このような声を聞くと心が痛みます。今回の100年に一度の不況という環境下だから生じたものではなく、サブプライム問題が発生する以前から、この傾向は生じています。
 そうすると、原因は別のところにある訳で、私としてはこのマネジメントシステムの中に改善プロセスはあるものの、ここでは個別のプロセス改善などは旧来重視されておらず、システムの改善面にのみ重きが置かれてきたことに大きな原因があるのではと感じています。
 日本国内では、昔からQC活動が華やかで現場改善活動は具体的な改善効果が経営に役立ち、組織的にはQCサークル活動を通して組織風土の醸成にも役立ってきていました。  
しかし、ISOの規格に基づく品質システムの中には、現場の改善行為やQC活動は必要なものではなく、いつしか忘れされてしまった感があります。
 経営者の方々においても、QMSを動かすことによって、QC活動同様に経営成果が目に見えて現れてくれば、取組と維持も違った形となったのではと思う次第であります。
 ISOのマネジメントシステムは世界共通の規格であるものの、経営上の使い方はもっと自由であり、QMSの中に、経営改善のプロセスや、改善活動プロセスなど、経営改善のためのプロセスを追加し、経営成果に直接結び付けることにチャレンジされることを是非お勧めしたいものです。

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