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原子炉圧力容器の温度上昇  120220

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2012年2月20日 18:10

原子炉圧力容器の温度上昇

新年も2カ月近く経ってしまいました。昨年の東日本大地震とそれに起因する福島原子力発電所事故から1年まで、1カ月を切りました。

1年が経過しようというのに、事態は一向に改善されていません。福島第一原発の2号機で、原子炉圧力容器の底部温度が今月12日に80℃以上に上昇しました。
東京電力の説明は再臨界を示すものではない、該当する温度計が故障したのだろうということです。

圧力容器の底部には外周に沿って3ヶ所に熱電対温度計が設置されているとのことです。2ケ所は冷温停止状態を示す温度なので、1ヶ所が故障だと考える、との説明です。
再臨界の可能性を否定する根拠として、東京電力は、①格納容器内のガスサンプリング結果、キセノン135濃度は再臨界判定基準以下であること、②放射性セシウム134・137が検出限界未満であることを挙げていますので、確かに緊急を要する状況ではないかのかもしれません。

ただ、田中自身の経験から考えると、「故障しているのに温度を表示する」ことがよくわかりません。ゴムを取り扱う会社にいたので、加硫(かりゅう)という、ゴム配合物が熱(140℃~170℃)と圧力がかかった状況でどのように狙った性質を発揮するゴムに変化していくかを検討する際に、自作の熱電対を使用しました。火力発電所で監視用として使用するものは頑丈に、きっちりとできているでしょうから比較すること自体おこまがしいかもしれませんが、故障しているのに温度を示す、温度が変動しつつ上昇傾向にあることが理解できません。
今回該当する温度計を監視対象から外す処置をとったとも報道されていますが、3ヶ所のうち残った2ヶ所だけで格納容器の温度を把握することが可能なのか、容器の大きさからすると測定点不足にならないのか、ということも気になります。塩水に漬かったために温度計としての性能が劣化した、との説明もされました。性能劣化する可能性がある状態を1年近く放置してきたことを、冷温停止状態の根拠(の一つ)としてきたことが正しいのか、疑問です。
格納容器内のキセノンやセシウム濃度をモニタリングできるのですから、圧力容器の底部温度を別の方法でモニタリングすることを検討すべきではないか、と考えます。

東京電力の発表内容が、「確かに確からしい」と感じることができるよう、早くなってくれることを祈ります。

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