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2011年11月 Archive

ガリレオ・ガリレイ  111124

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2011年11月24日 18:33

ガリレオ・ガリレイ

ガリレオ・ガリレイは1609年に自作の望遠鏡で天体を観察しました。望遠鏡の発明者は1608年、同じイタリア人のリッペルスハイとされていますが、そのこと以外の情報がありません。ガリレオは、望遠鏡を夜間、空に向けた最初の人です。当時の倍率は20倍くらいだったようですが、夜空は現在とは比べ物ならないほど明るかったと思われます。それまで見えていなかった宇宙が見えることで人類の知識が急速に拡大し、星の運行状況の観測結果から、地球が宇宙の中心ではなく、片隅であることがわかったのです。ただ、現在では当たり前のそのことが、宗教上の原理・摂理と相容れない部分があって、1616年の宗教裁判にもつながっていきます。

「天文対話」の中で地動説理論を発表し、1616年と1633年の二度も宗教裁判にかけられてしまいました。1642年にガリレオが亡くなってから約350年経って、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は、宗教裁判の誤りを正式に認めました。地動説は、アイザック・ニュートンの登場で迫害されなくなったのですが、ガリレオの名誉回復までには多大な年月がかかりました。

1年ほど前に書きましたが、渋川春海(安井算哲)という江戸時代の人(1639-1715)も正しい暦を作成するために、天体観測を根気よく続けました。最終的には、緯度経度の違う中国の暦に頼ることなく、日本独自の暦が完成しました。

事実に基づく意思決定、という概念が品質マネジメントシステム規格の基本(8原則)の一つにあります。突き詰めていくと、不確かさという壁にぶつかるのですが、日常的なできごとは事実に基づいて行動を決定することで十分に暮らすことができます。

日常的なできごとと、不確かさの関係が現実のものとなった最近の例として、放射線量の測定があります。今朝のNHKのアサイチという番組で、放射線量の測定値が「ゼロ」と「ND(検出限界以下)」の違いを問題として、番組側が謝罪していました。番組を見ているおおぜいの方達が、測定値の大小/ゼロなのかそうでないのか、についてピリピリしている様子がうかがわれました。言葉や概念を正しく理解することは重要で、ある意味でピリピリするのはよいことだと田中は思います。

列車事故再発防止  111107

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2011年11月 7日 19:14

列車事故再発防止

中国の高速鉄道で追突事故が起きた件に関する続報が、まばらですが報じられています。高速鉄道網の拡張を急ぐあまり、安全面での検討がおざなりになっていたのではないか、という海外諸国の懸念に対して、当初は無視するイメージでしたが、様子が変わってきたように感じます。中国の政治も物事の進め方も外部からは理解できない部分があるので、メディアが報道することをそのまま信じてよいか不明ですが、是正処置/再発防止の観点から考えると、「様子が変わってきた」ことは良い方向だと思います。

是正処置/再発防止を行うには原因を突き止める必要があるのですが、原因を突き止めることが結構むずかしいのです。落雷のため停止していた列車の後続列車が高速で追突したことは事実だと思いますが、事故原因を「落雷」としてしまうと、是正処置は「落雷を高速鉄道網周辺では発生させない」こととなります。なぜならば、「是正処置=不適合の原因や望ましくない状況の原因を除去すること」だからです。
自然現象である落雷を発生させない技術はないでしょうから、是正処置がとれません。

追突事故の原因は、「落雷があっても故障しない列車運行システムがなかったこと」と考える必要があります。日本の新幹線がどのような要因を検討してできあがったかわかりませんが、あれだけの過密ダイヤでも、大雨、雷雨、強風、大雪にも耐えるシステムであることは実績が示しています。ただし、在来線と呼ばれる路線では、強風、大雪による事故が、田中の記憶にある中で起こっています。余部鉄橋の事故や羽越本線での事故です。
余部鉄橋の場合、乗客には死者は出ず、車掌と鉄橋下の工場従業員が死亡しました。まず、風速による運行制限の強化とを行った結果、荒天時の運行休止が大幅に増加して、定時運行と安全確保の板挟みの状況が続きました。是正処置としては、完璧なものでなく、別の不具合を発生させたのです。橋梁そのものを強風に対して強固なものにかけ直すことで、てほぼ完ぺきなものとなったのですが、二つの教訓があるように思います。
① 複数の処置をすることが心理的な安心感を高めるだけでなく、処置の実効性を高める。
② 医療においては副作用という現象があるが、是正処置にも似たようなことが起こり得る  ことです。

② に関連してですが、8.3項で、田中はこういう説明をしています。
『「不適合製品に修正を施した場合には、要求事項への適合を実証するための再検証を行う」とあります。製品の特性は複数あって、その中のどれか1項目が不適合でも製品としては不適合になり、不適合製品の処理として手直しをする場合がありますが、それは不適合となった特性に対して行います。この作業は「修正」です。修正後に再検証して「適合」になれば手直しができたことになりますが、別の特性が新たに不適合となっていないか、再検証は全ての特性に対して行ってください。』

「要求事項への適合を実証する」という文章の「要求事項」は、日本語で読むと「不適合となった特性」と読み過ごす恐れがあるのですが、英文では、" to demonstrate conformity to the requirements "と複数形になっています。

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