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中国での列車事故  110803

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2011年8月 3日 18:57

中国での列車事故

中国の高速鉄道で追突事故が起きました。落雷のため停止していた列車の後続列車が高速で追突した、とされています。中国は新幹線の車体技術を日本・ドイツ・フランスから学んで、自主技術で開発し特許取得を目指していたり、それを含む技術を海外に売り込んでいるさなかでした。
この事故で明らかになったことの一つは、高速走行可能な車体を開発製造する技術と、全車両を安全に運行させるシステムの開発という、両者が完全でないと高速鉄道事故が起きる可能性があることです。

田中が気になったのは、日本ではこのような事故は絶対起きない、という短絡化した意見です。たしかに、日本の新幹線は過密ダイヤの中でも運行面での死亡事故を起こしたことがないという立派な実績がありますが、もう少し他国の事例から学ぶ姿勢が必要だと思います。絶対的な安全神話をベースにした原子力発電ですら事故が起きたわけですから、もっと謙虚に、修正・予防処置をとるべきでしょう。

中国の事故について、現在メディアが伝えているのは、高速鉄道網の拡張を急ぐあまり、安全面での検討がおざなりになっていたのではないか、ということです。日本でも、原子力発電所の建設を急ぎ過ぎた可能性の検証が必要だと感じました。兵器としての利用以外、日本はいろいろやってきたのですが、原子力船「むつ」の故障⇒廃船以外にも、JCOにおける裏マニュアルによる臨界事故、冷却用ナトリウムの漏れなど、周辺の技術開発において狙い通りにならなかった事例は多数あります。なぜ安全神話を信じてきたのか、信じるしかないと思い込まされてきたのか、反省点は沢山あります。気づいてみたら50基を超す原子力発電所ができてしまったのですが、論旨としては、二酸化炭素を排出しない発電方式であることと、発電コストが他の方式と比較して安価であり電気料金を抑制できるということでした。
しかし、発電にかかわる、安全という品質面での検討が不十分だったことは今回の事故ではっきりしました。コストについても、付随するコストを無視していたと指摘されています。良い、正しい、間違いないという論拠が根底から覆される状況になったわけですから、もう一度冷静に多面的な検討をすべきでしょう。福島の事故発生は東京電力、事故後の対応については政府に責任があると考えていますが、放射性物質を撒き散らし、地球全体での濃度を増大させてしまった(いろいろな国々の人たちに、将来を含めて迷惑をかけた)ことに対する責任は政府だとか一民間企業というものを越えて、日本国民全体に責任があると考えます。空気中を伝って、海流に乗って放射性物質は長い半減期の数十倍の期間影響し続けるのです。安心して食べられるものが、そのうちなくなってしまうかも知れないのです。

中国での列車事故に話を戻すと、真の事故原因を究明してほしいです。国の体質からすると、関係者の首きりという形で収束してしまう恐れもあります。原因を個人のせいにすると、決してシステムは良くならないと考えるのがマネジメントシステムの考え方です。ひょっとすると、システムという概念を組織内に取り込むところから始める必要があるのかもしれません。

余談ですが、7月度の電力使用量、田中の家は昨年対比18%減でした。

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