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26000規格 110308

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2011年3月 8日 14:52

26000規格(社会的責任に関する手引)

2011.2.11付けの「TOPICS」と類似の話題です。
社会的責任に関連して、日本ではECS2000という規格を麗澤大学の高巌先生を主体に審議制定してきた経緯があります。10年以上前に、社会的に名の通った企業の不祥事が相次ぎ、企業倫理・社会的責任という観点から審議したものです。社会的責任(SR)は民間企業だけでなく、基本的には全ての組織に求められているものです。
ISOで種々議論を重ねて26000規格は2010年に発行されました。

2010年10月にIAF(International Accreditation Forum)の総会がありました。IAFはISOとは独立した組織で、認定/認証活動に対する基準を国際的に審議する場です。その中で、26000規格に関しては、認証という制度がないことを明確にしました。次のように表現しています。「26000規格に対する認証のプロモートや認証授与を行わないよう、各認証機関は強く求める。市場において間違った使用や、認証の要求があった場合、各認証機関はその旨をISO事務局に報告する。」

上のような経緯で発行された規格を実践することに対するお墨付き(認証制度)がない、ということはISOの目指すマネジメントシステムとしては画期的と言えます。企業不祥事と関連してマネジメントシステム認証の一時停止を行うことに関しては0908012で少し述べました。これはどちらかというと別件逮捕のようなものだと感じていますが、26000規格は第三者認証対象外なので罰則的なことが期待できないのは同様で、いたしかたないことです。

社会的責任と法的な適合性を混同していると感じることがよくあります。新聞を賑わすというか汚しているというか、政治の世界で、法律上罰せられなければOKという解釈をしているケースがありますが論外です。
社会的責任イコール法的責任であるならば、なぜISOという世界で議論/制定する必要があるのでしょうか。国会議員は以前、「選良」という別名で呼ばれていました。選良という言葉は"elite"に対応する言葉で、誰からも尊敬されるような人柄と実行力(力量)を併せ持つ人を指します。今は、そのような言葉を使ったら、言葉が腐ってしまうか気を悪くするからか、使われなくなりました。

社会的責任というのは、法人として"elite"であるための、組織の規範(社会経済活動に関する規準/指針、ふるまいに関する制約)と考えればよいと思います。組織は複数の人から構成されているので、組織人の中には不埒なことを考えたり実行する者が紛れ込んでいる可能性を否定できません。そういう芽(可能性)を、組織としてどのように摘みとるのかが、26000規格の役割のように思います。

日本相撲協会が取り組むといいかもしれません。

なお、IAFの見解に続き、ISO自身も、ISO News, Ref. 1378(2010-11-30)で、認証制度がないこと等についての注意文書を発行していることが、JAB(日本適合性認定協会)のホームページ(3月3日付け)に掲載されました。

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