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紺屋の白袴  110316

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2011年3月16日 14:05

3月11日に東北地方太平洋側を中心に、広範囲にわたる大地震がありました。被災された方々にはお見舞い申し上げます。被災後92時間経ってから救出された明るいニュースもありますが、従来の予測以上の津波による被害が、日を追うごとにわかってきました。被災された方々には、一日も早く平常心を取り戻していただいて、新たな生活設計ができることをお祈り申し上げます。また、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするばかりです。

今回のテーマは、この大地震(報道機関によって名称が統一されていません)の影響で発生した福島原子力発電所です。紺屋の白袴というのは、「和服の生地を染める仕事をする人が、顧客の注文を優先するために、自分の衣服は白無地のものでいること」を揶揄する表現です。患者の治療はできるのに、自身の健康を管理できない医師を揶揄する言葉と同様です。

まだまだ流動的に、しかも危機と直面する状況で事態が推移している段階なので、コメントすることは避けるべきなのかもしれませんが、東京電力の体制はお粗末という他ありません。きっかけは大地震とそれに続く津波という自然災害かもしれませんが、危機に対する備えがきわめて不足していることが明らかになりました。炉内温度を一定以下に保つための冷却水を供給するポンプが動かせなくなったのです。一次的な原因としては外部からの送電も来ず、非常用発電機も動かせなかったからと説明されています。
発電所で電気を利用できないとは、紺屋の白袴でしかありません。

不適合に対する是正処置を行うには、真の原因を突き止めて、その原因に対して手を打つことが不可欠です。なぜ非常用発電機を動かせなかったのか、そもそも非常用発電機を日常どのように管理していれば今回のようなことが起きなかったのか、という考え方をしないといけません。マネジメントの問題としてとらえる必要があります。

現時点で行うべきことは、水素爆発であるとかメルトダウンを避けるための活動(9000/9001の概念では「修正=検出された不適合を除去するための処置」)ですが、喉元過ぎて熱さを忘れることがないように、このブログを記録として残します。
紺屋の白袴とか医者の不養生は本人とその周辺の人々に影響があるだけのことですが、原子力発電所における災害は何千万人に影響が起こるだけでなく、生涯つきまとう健康被害につながりかねないことですから、真剣に取り組んでくれることを願っています。

参考までに、東京電力がQMS、EMSに取り組んでいるかをJAB(日本適合性認定協会)のホームページで探しましたが、JABに登録する形では、数拠点が取り組んでいるだけです。リスクマネジメントを含め、マネジメントシステム的な考え方を組織全体でしていれば、少しは違うのではないかと考えています。

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