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目的、目標がQMSの起点 110111

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2011年1月11日 17:05

目的、目標がQMSの起点

前回に引き続く話です。9001規格には用語の定義として、目的という概念がないので、おおざっぱなイメージになりますが、目的は中期的な到達点、目標は短期的な到達点と考えることができます。
目的は方針と整合したものです。方針が「年率☆%の成長」であれば、目標はそれに見合う、売上高◎◎億円/上半期、◇◇億円/下半期となります。目標は、四半期・月単位・週単位等に落とし込んだ指標です。

設定段階では、方針⇒目的⇒目標の順ですが、実績評価段階では、目標(に相当する実績)を積み上げたものが目的(に相当する実績)であり、目的を積み上げたものが方針の実現度合いとなるのです。半年とか一年単位で管理した場合には、未達に終わった場合の修正がききませんから、最長でも月単位で管理(実績を評価)し、小さなズレの理由(原因)を見極めて、放置しないことが重要です。不適合の管理と同じことを、目標に対して短いサイクルで繰り返すのです。そして、結果の悪さ加減を容認しないことが重要です。結果を容認するなら、むしろ次期の設定段階で目的/目標を修正するのです。

9001規格の5.6.1項(マネジメントレビュー)には「品質方針及び品質目標を含む品質マネジメントシステムの変更の必要性の評価を行う」とあります。マネジメントレビューは多くの場合、半年に1回実施ですから、頻繁に目標を変更するわけにはいきません。設定段階では熟慮し、設定したらコロコロ動かさないのです。組織を取り巻く状況・経済環境は日々変化しますが、その変化に振り回されない努力も不可欠です。(経営者には、小さな変化を見逃さず、変化を先取りする力も要求されていますから単純な話ではないのですが)

"Control"の日本語として、「管理」は、現状がどういう状態であるかを把握していれば、とりあえず合格です。しかし"Control"の本来の意味としては、「支配」「統制」「制御」があり、考えている方向からずれていれば、正しい方向に進むように修正する機能=フィードバック機能がなければいけないのです。統計的品質管理の場合には、間違いなくフィードバック機能がついていて、統計的にみて逸脱している場合には、修正(プロセスの変更)を行うのですが、マネジメントシステムの「管理」の場合にはその機能を発揮させていないケースが多々見られます。

マネジメントシステムを有効なものにするには、まず、トップマネジメントが組織をどの方向にもっていきたいかという方針を立てること、方針を中期の目的に置き換えること、部門階層ごとに方針・目的を理解して、短期の目標に置き換えトップの承認を得ることで、組織全体の共通理解になります。この段階で「目標」は必達目標となるのです。あとは実行あるのみ、実現/達成を目指して努力するのです。
努力といっても目新しいことをしようというのではないのです。実施すべきプロセスは決まっています。手順書という形で文書になっているかどうかは問題ではなく、手順通りにプロセスを実行するのです。手順がなければ、9001規格の4.1項の要求事項を満たせないからです。手順通りにプロセスを実行しているのに、結果が出ないのは、設定したプロセスが正しくない(最善ではない)ことを示唆しています。プロセスを修正することを検討すべきです。

QMSの起点は、目的、目標と考えます。方針と同様、あればよい、というものではないのです。

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