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QMSの有効性  100614

  • Posted by: 田中 昇次
  • 2010年6月14日 11:36

QMSの有効性

有効性に関する議論は古くて新しい問題です。QMSに取り組んでいるのにあそこの会社は何をやっているんだろう。法律違反で訴えられたり、不良隠しをしているじゃないか、という事件がここ数年続々と報道されています。
そのようなことは急激に増えたのではなく、単に顕在化しただけだと思います。忘れられるのも速いですが情報が伝わるスピードもどんどん速くなっているからです。

なぜ法律違反や不良隠しが行われるのでしょう。
学生時代の第二外国語はドイツ語でしたが、嘘をつくことを雪玉(Schneeball)にたとえた話を読みました。小さな嘘を隠すために、だんだん大きな嘘をつかざるをえなくなっていくという内容でした。逆に読むと、大きな嘘をつかずに済ますためには小さな嘘もつかないことが重要なのです。
(ちなみに、最近発行されたウォーレン・バフェット伝では雪玉(snowball)は肯定的に使われているようです。)

本題のQMSの有効性ですが、有効性を高める/確保するためには小さなことを見逃さない、小さなことでも確実に処理していくことではないでしょうか。結果についても、実行過程についてもです。「小さなことからコツコツと」と言って参議院議員になった方もいらっしゃいます。この精神が大事です。
労働安全衛生の世界では「ハインリッヒの法則」が有名です。死亡者・重傷者が1人発生する陰には29人の軽傷者、300人のヒヤリハット経験者が統計的にはいる。∴死亡者・重傷者がでるような大事故を起こさないためにはヒヤリハット現象を軽く見ずに、安全確保を図ろうというものです。

品質管理とか品質保証を初めて教えてくれた先生は「ハインリッヒの法則」を応用されていました。クレームとか苦情が1件発生する背景には、流出はしなかったけれど社内で検出した不良があり、もっと源をたどるとプロセス上の不適合が多数あるのに対策が打たれていない、というのです。
プロセス上の不適合があったときに必ず製品の不適合が発生すれば状況が変わりますが、現状ではプロセスを守らなくても(手抜きをしても)なんとかなったじゃないか......たとえが不適切かもしれませんが、スピード違反をしたけれど検挙されなかった......ということがあるのです。「なんとかなった」が特別採用でなかったのなら、こういうときはむしろ、プロセスを考え直すよいチャンスなのです。製品の質は少なくともお客様の基準より許容差を狭く(厳しく)設定することをおすすめしますが、プロセス(作業標準)の設定には自由度があってよいのです。

QMSの有効性とはそもそもなんだ?については別の機会に書きたいと思いますが、有効性は結果だけでなく、実行場面についても考えるべきなのです。結果だけ良くしようとしてもだめで、プロセスが重要なのですが、あまり理解されていないように感じています。

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