昨日本屋を覗いたら、専門書のコーナーに"ISO崩壊"の本が棚にあった。
ISOと云えば、フィルムの感度や、最近ではブルーレイの規格など製品規格を示すものが大半である。一部の規格にISO9001に代表されるマネジメントシステム規格といわれるものがあり、必ずしもISOが崩壊しているかのような表現は正しいものではない。
さて、タイトルの話は別として、確かにISO9001の登録数は国内では激減しているものの、このような環境下でも、新たにチャレンジしている企業も多数あり、そのような企業のISO9001取得目的は、顧客からの要請、あるいは自社の成長のため、社員育成のため等、積極的にISOを経営に取り入れ、品質を維持・改善しようとしている企業である。
現在、日本の中堅・中小の企業においても、技術力、商品力、販売力等において優れた競争力を持つ所も少なくない。これらの企業がISO9001に取り組むにあたっては、企業経営の柱となるシステム構築と運用に心がけて欲しいものである。
今日までのISO9001は残念ながら第一版の品質保証という領域の亡霊を色濃く引きずっており、構築するマネジメントシステムは日本人の特性である律儀さからか規格を忠実に再現することとに構築・維持の大半を費やしているように思える。
ISO9001は、企業の事業戦略や、事業方針を受けて、すなわち経営者がたてる経営計画の元に、製品やサービスをどのように構成し、提供していくのか、提供している製品や、サービスは顧客のニーズに合致しているのか、顧客は満足しているのか等、経営者が常に考え、実践しようとしている課題を、実証していくマネジメントシステムであるはずである。規格はそのように構成されている。
しかし、現実のシステムは製造部門や、サービス部門、あるいは品質保証部門等の現業レベルで維持され、経営トップが係わるのは、一般的には一年の中で数時間程度行われる、経営者による見直しによる関わりぐらいとなっている。このような仕組みでは、マネジメントシステム規格が狙う本質的な効果を得ることは困難である。
当社では、ISO9001に取り組む組織にあっては、上記に記したように企業が経営を進める上での柱としてのシステム化と認識し、真の意味でのマネジメントシステム作りをご支援しようと心掛けている。
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