先週12日に日本経済新聞の夕刊に2009年3月期に支払った上場会社の監査報酬が前の期に比較して32%上昇したとの記事が掲載された。監査報酬の上昇要因は、アメリカで法制化された内部統制(SOXと呼ばれている)がヨーロッパーに波及し、その後日本でも2008年4月1日から適用となった結果、今期は始めてのSOX監査も会計監査にあわせて行うこととなった結果である。
内部統制の原点はアメリカのCOSOといわれる基準を元に構成されていて、日本でもほぼ同じ構成となっている。アメリカでの上場会社の相次ぐ不正行為により、株式市場が混乱し、公表財務諸表の適切性を普段から内部統制制度を整備運用することで確保しようとしたものである。
今回の3月期の内部統制監査結果重要な欠陥が生じた企業は全体の2.1%とアメリカで導入された時よりも大幅に減少している。既にグローバル化して海外でも上場している企業は欧米のSOXを経験していたことや、日本の国民性から決まったことは着実に実行すると云った結果であると推定できる。
現在は経済不況の真っ只中であり、売り上げも昨年対比で50%減というような厳しい環境下にあるものの、資本市場から資金を調達しているパブリックカンパニーにおいて、社内の内部統制コスト並びに外部監査コストを確かにUPしたものの、内部統制監査結果の98%近くの企業で重要な欠陥がなかったことは、投資家からの信頼確保に大きく寄与するものではないだろうか。
むしろ、これからは今回整備した内部統制を財務目的を当然のこととして、事業の効率性といった視点から整備した統制のシステムをブラシアップし、積極的に活用することが求めらることでしょう。
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