民主党が、政権をとったら高速道路を無料化するとのことをマニフェストで公約しているが、私としては下記の点に大いなる懸念を持っている。
第一に、現在の高速道路建設費用約30兆円の処理をどうするのか。現在は高速道路の利用者が支払う通行料で建設債務も賄っている。それが高速道路の無料化により結果としてまた30兆円もの負債が高速道路を使用していない者も含めて、全国民に被さることになる。今でさえ先進国で最悪といわれる巨額な国債を発行しており更に上乗せとなる。
第二に、全国の高速道路の維持・補修についても新たな国民負担増となる。今は高速道路の維持は各高速道路会社が収入から賄っているが、無料化することによって国、或いは地方自治体に移ることから、結果として道路の維持費用も多くの国道や地方道路のように、この新たな負担も税金で賄うこととなる。
第三に、環境問題である。高速道路が今回1,000円になったことで、通行量が大幅に増加し全国で渋滞が発生している。他の交通手段よりもはるかに安くなったのだから利用は増える。温暖化対策が強く叫ばれ、中でも自動車から発生する温暖化ガスの削減は急務である。近い将来においては電気自動車や、燃料電池自動車に移ることによって、温暖化ガスの大幅な削減は可能になると思われるが、そこに行くまでには暫く時間がかかる。
温暖化ガスの削減という全世界的動きとはまるっきり逆の政策となる。
高速道路の無料化というと耳障りは良いが、高齢化社会に入り、健康保険や、年金、子育て支援、停滞する経済の活性化など、これらに必要な財源は無駄によって捻出するといっているものの、新たに無料化する高速道路の債務、維持費をどのように捻出するのだろうか。大変心配している国民の一人です。
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