先週、内閣は地球温暖化問題懇談会案として日本おける温暖化ガス削減計画に関するプランが発表された。基本的には、1990年対比で2020年までに+4%から-25%までの幅で発表された。
日本では、産業分野、家庭分野などによる削減と、森林等によりCO 2を吸収する部分とによって削減が予定されている。
それでも、不足する分はCDMによる環境投資と、それに見合った排出権を受け取ることによって、日本国内の温暖化ガス削減として認めてもらう制度がある。
現状のCO2排出状況は、2008年秋からの急速な景気の落ち込みによって産業活動が停滞し、結果として一時的にCO 2排出量が低減するものの、経済状態が回復すれば産業活動によって排出される温暖化ガスはまた元に戻ることとなる。
このような環境下にあって、今年に入り政府は相次いで、ウクライナ、チェコから排出権合計7000万トンを購入することの契約締結が完了したとの報道があった。排出権取引の価格は昨年のピークからは30%台にまで落ち込んでおり、安い価格で購入できたようである。
これまでは、途上国で温暖化ガス排出を減らすプロジェクトに投資し、見返りに排出権を得る「クリーン開発メカニズム」(CDM)だけだったが、今回、チェコと合意したのは、具体的な環境対策と関連付けられた排出量取引の仕組みである「グリーン投資スキーム」(GIS)に基づく排出権スキームが新たに加わった形となった。
しかしながら、東欧、ロシア、中国、アメリカと1990年以降温暖化対策を積極的に進めてこなかった国々から余剰排出権を購入することによって、国内の排出枠を補うことは、経済合理性があるとはいえ、問題の本質とはかけ離れているのではないかと思う。
世界的な不況のまっただ中で、温暖化防止のための投資までは経営資源を割きづらいといった環境下にあるものの、中期的には経済成長と、地球環境との共生は避けて通れない道である以上、政府も財政出動を伴う景気対策を打つならば、世界に貢献できる環境技術で競争優位にたてるよう政策誘導すべきものと思われる。
2009.3.15日のブログと重なる部分があるが、日本は世界で競争力のある環境技術は沢山あり、太陽光発電、風力発電、蓄電池、リチウム電池、原子力発電など、温暖化防止のための幅広い技術と、高度な技術を持っている国はほかに類をみない。
政府には今後の経済回復のキーテクノロジーとして、これらの技術を飛躍的に高度化するための投資と、社会資本としての研究促進を通して、環境ビジネスを世界的に進めるためのリーダーシップを発揮してもらいたいものである。
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