つい先日、ある経営者の方と話していて危機管理について以下のような話題となった。
最近の日本では、危機感と危機管理という意識が非常に薄いのではないか。日本は島国で昔から一度も本格的な侵略を受けたことのない国であり、また、諸外国のように人種、思想、宗教等の違いによって血で血を洗うような紛争もないことから、海外で起きている現象に多くの人たちは無関心なのでは?。日本の多くの国民は欧米の文化や、ファッションに関しては積極的に導入し、世界でも最もブランド好きな国民といわれており銀座の目抜き通りや、東京駅前のビジネス街の目抜き通りなど、一等地はブランドショップで溢れているのに、世界で起きている危機にはほとんど関心がないようである。
しかし、世界中が危機に溢れている。
最近の大きな危機の例としては、化石燃料の使用による地球温暖化問題、アルカイーダによるアメリカの9.11テロ、サブプライムを経緯とした世界大不況、世界人口の増加による食糧不足、気候変動による天候の不順など、世界的な規模での危機は数えきれないほどある。
身近なところでは、つい数年前、新潟中越地震の際には、自動車部品工場が被災にあい、稼働が停止した事故があったことは記憶に残っているものと思われる。最近のビジネスモデルはサプライチェーン方式が主力であり、車体メーカーの日々の生産計画に基づき、部品もそれにあわせて製造しジャストインで車体メーカーに納入される仕組みとなっている。そのため、主要部品が生産ストップすると車両の製造がストップするという事態となった。そこで、車体メーカーは系列を超えて、その工場に社員を派遣し、工場の早期復旧に努めることとなった。このようなメーカーが共同して部品メーカーの復旧に当たるといった危機対応は初めてのことと当時いわれたものである。その教訓をもとに、メーカーは、主要部品に関する製造地域を分ける、外注先を複数にする等、その後危機管理対策を行ったことは当然である。
最近では、これらの危機管理に対する基準やガイドライン等が幾つも発表されているので、危機への対応という見えないものへの投資というふうに大げさ考えずに、企業としての事業継続を阻害する重要な危機を認識するための素材として考え、一度これらのガイドラインに目を通すことをお勧めしたい。
危機管理を考える上での参考となる各種ガイドライン等
・事業継続ガイドライン・・・・・・・・・・・・・・・内閣府
・ITサービス継続ガイドライン・・・・・・・・・・ 経済産業省
・中小企業BCP策定運用指針・・・・・・・・ 経済産業省
・新型インフルエンザ対策ガイドライン・・・ 厚生労働省
・事業継続マネジメントシステム規格・・・・ BSI
・苦情処理の指針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ISO