今回のアメリカ発サブプライム問題は世界経済を極めて短時間で壊滅的に悪化させ、結果として世界中で一心不乱に進めてきた市場主義の悪さのみが目立つ結果となった。
行き過ぎた規制も確かに自由競争を阻害するものではあるが、行き過ぎた規制緩和による自由奔放なビジネスも問題である。世界の株式総額がこの一年で半減し、幾つかの国で金融機関の国有化に踏み切らざる得ないほど信用が棄損してしまっている。
しかし、創造を絶する大きな犠牲を生んだにもかかわらず、将来に向かって明るい光も昨年から今年の1年間で生まれてきたと考えられないであろうか。
一つの代表的な事例をあげれば、地球温暖化対策のための新技術である。昨年原油が140ドルにもなったことから、バイオ燃料の開発が急速に進み、食用のトーモロコシを原料としたものから木材系、雑草類、藻等からバイオエネルギーを作る技術が一気に花開きつつあるようである。さらに藻からバイオ燃料を作るプロジェクトでは、CO2を海中に注入し藻に吸収させつつ、藻の発育を促進させるといった一石二鳥の取り組みも始まっている。
次に、日本の環境固有技術は世界的にも優れたものがあり、電気自動車用のリチウム電池、水素自動車用の水素タンク、太陽光発電パネル、原子力発電装置、ハイブリッドカー等のハイブリッド技術、省エネ鉄道車両等、従来から得意としてきた微細加工技術が環境との共生の中で役立ち、世界中で競争優位にたてる技術は沢山あり復活のための材料は存在している。
また、次なる技術世代への仲立ちとしての位置づけかも知れないが、世界の自動車マーケットが崩れているなかで、トヨタやホンダのハイブリッド車は好調な販売を維持しており、同じように他の製品群においても、20世紀型の製品から21世紀型の商品に変化する分岐点となるのではと思えるものである。
この半年間での経済の落ち込みは、21世紀に入っても20世紀型産業からなかなか転換できない産業構造を根幹から変えざる得ないところに気づかせてくれることとなった、神が与えてくれた試練とチャンスではないかと思う次第である。
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